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ラビは器用だ。

何でも人通りこなすし、知識も豊かだし、向上心はあるし、人のことはよく見えるし、思いやりもあるし、苦しい時も人の心配をしたり、冗談を飛ばす余裕がある。
大声で笑って、茶目っ気な事言って、好きな事は好きとはっきり言える。

アレンはラビのそういう所が真似できないなと思って、少し憧れて、お兄さんみたいに思って、師匠にはなれなくても、ラビのような心の余裕みたいなものが自分にも持てたらと思うんだけど、アレンはやはりアレンでしかないからなかなかそうはできないし、それは仕方がない事だと思っている。

だけど、ラビは本当にツライ時、泣きたいのに泣けなくて、笑い顔だけど、痛いくらい切ない笑顔で、素直に泣けるアレンが羨ましいのだとポツンと、吐き出すように夕日の中で呟いてくれたらいい。

その時、アレンも「ああ、この人も完璧ではないんだ。僕と変わらないんだ」と察して、何となく安心して、それすらも悲しくて、ただラビを抱き締めてラビの代わりに泣いて、そんなアレンに尚「ありがと」と呟けるラビの言葉がただただ切ない、とある戦場の片隅。

ラビのこと

 

 

 

 

 

 

 

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