「本当は」


 いつもの事だが、神田が通る時、探索部隊の面々は遠巻きにしている。誰も声をかけない。綺麗だし、仕事ぶりは真面 目だから、お近づきになりたいなぁと思ってはいるのだが、いかんせん性格に難がある。なかなか彼の表情で機嫌を読みとるのは難しい。


「うわぁ、また今日も一段と厳しい顔だなぁ、神田は」
 探索部隊の男は顔を顰めて言った。
「全くな。毎日毎日、よくあんな険しい顔してられるよ」
「女みたいに低血圧だったりして」
 思わず周囲に笑いが起きた。



「でも、今日はすっごいゴキゲンだよな」
 栗毛の男が笑った。
「これから、あの白髪のエクソシストの所に行くんだろう。昨日、任務から帰ったそうだから」
「ああ、あの例の赤い左手の新人か」
 男達は頷いた。金色のティムキャンピーを連れた少年の事はもうすっかり有名になっていた。かわいい顔で性格がいいから尚更だ。


「だけど、ゴキゲンなんて、そんな事何でお前解るんだ? あいつら、食堂で大喧嘩したって聞いたぞ」
「そうだよ、顔はいつも通りじゃないか」
 栗毛の男は小さく指差した。
「ホラ、足取りをよく見てみろよ」


 苦々しい顔だが、足はスキップしている。


「…………」
「…………」
「…………」



 男達はそれ以来、神田の気分を知りたい時は、顔より足取りを見るようになった。

エンド

神アレはバカっぷるかも(^^;

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