もしも、ボクが

 

兄さんを抱いた後、よく考える。

僕らは愛し合う事で、危うく精神の均衡を保ってる。
どんなに辛くても、どんなに苦しくても、二人だから耐えられる。
だから、僕達は早く元に身体を取り戻したい。
早く、本当のぬくもりを、触れ合う事の熱さを優しさを身体に刻み込みたい。
その想いは日々、強くなるばかりだ。
鋼の身体だろうと、僕達の想いを阻めない。
僕達は禁忌を恐れない。兄弟でも構わない。
鋼の身体のまま、僕達は愛し合う。

 

だけど、もし、生体錬成の代償が、僕達のこの想いそのものだとしたら、
その時はどうしたらいいんだろう。
物質には肉体を。感情には精神を。
元の身体になる事が、二度と禁忌を犯さない事が絶対条件だとしたら、
それが等価交換としたら、僕達はそれを受け容れるだろうか。


僕達の望みはもう一度、触れ合う事、抱きしめ合う事。
体温を感じる事。抱き合って眠る事。
それを許されないとしたら、僕達はそれを守れるだろうか。
ぬくもりを得られず、ただ見つめ合うだけ。
それでも、一緒にいられるなら。
お互いの身体が人間の身体ならと、それで満足できるだろうか。
再び失うなら、セックスなど何程の事もない。
そう言い切れるのか。

 

僕達は愛し合う。絆が強くなる。
感情は育っていく。
それをあいつが、真理が待っているのだとしたら。

 

その時、僕らはどんな選択をするのだろう。

もし、兄さんが

もし、ボクが

 

エンド

 

魂の代価は「感情」しかないように思います。
感情は理屈じゃありませんから。数字で割り切れる物ではない。
エドはアルの為に右腕を失ったけれど、真理が本当に欲しかったのは
「弟を取り戻したい」というエドの想いそのものではないかと。
だから、アルの全身を錬成し直すには、それだけの等価交換が必要な気がします。

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