「パートタイムラヴァー その後」
アルフォンス、もの凄く低い声で
「……兄さん、ちょっとここに座りなさい。
で、何処行ってたの? 連絡しないで心配したんだよ。一晩中、探し回っちゃった。電話一本入れる時間くらいあった筈だよね。
それとも、何か凄〜〜く楽しい事でもあった訳? 僕の事忘れる位にさ。
別にいいんだよ? 兄さんだって息抜きも必要だよね。毎日、研究で寝る時間も削って頑張ってるんだから。
兄さんだって、もう大人になりかけてるし、都会じゃ誘惑も多いだろうし、変な病気とかもらって来なければ、僕だって兄さんのプライベートをとやかく言うつもりはないよ。
だけどさ、いきなり連絡なしで朝帰りはないんじゃないの? 今まで一度だってそんな事なかったじゃない。
あのさ、本当はね、街中探し回ったりなんてしてないんだよ。
兄さんが行った先が司令部って解ってるから、連絡してみたんだ。で、僕、ずっとホークアイ中尉とお話したんだよ、色〜々と。
でさぁ、言いたくないんだけど、今、パンツ履いてないよ、ね?
僕さ、感覚なくしちゃった分、目はすっごくいいんだよね。パンツの線がズボンにないとか、兄さんのアレの形がモロ解りとか、今も凄く目のやり場に困ってるんだけどさ。
ショック?
僕の方が千倍ショックだって事解ってほしいんだけど。
その人の事が本当に好きになっちゃって、離れられなくなっちゃったっていうなら、それも仕方ないよね。
忘れちゃったってのもついある事だよね。
好きっていうのは、止められない事だもん。
でも、忘れられた方はたまんないんだよ。
一晩中、冷たいもの抱えて、すっごくイヤな事ばっかり考えてしまうのもイヤなんだよ。
見て見ぬ振りをするのもイヤなんだよ。
兄さんには幸せになって欲しいとか、いつか兄さんと僕は別々の道を歩むんだから、兄離れするいい機会かもとか思ったよ。
うん、思ってはみたよ。
でも、何でかな。その人の顔、思い浮かべると握り拳いつの間にか握っちゃうんだよね。
あの人では…何か許せないんだよね。
あの人の能力は凄いかも知れないけど、マトモにやったらあの人は僕に勝てないよ?
僕は絶対に止まる気はないし、それに鉄を瞬時に溶かす火を至近距離で放ったら、術師はどうなるかな?
何しろ錬金術は科学であって、魔術じゃないもんね。結界なんて作れないもん。
僕の血印だけ、足だけ溶かすなんて器用な真似させる前に全部終わらせるよ。
まぁ、これは冗談だけど。
今のところ。
好きなら好きでいいんだよ。
本当に。
僕だって、二人で分かれて賢者の石を探すのも効率がいいんじゃないかなとか、まだまだ言いたい事あるんだからね。
言い訳は聞いてあげるよ?兄さんの言い訳大回転て、見るの結構好きなんだ。
でも、僕の為とか、なりふり構っていられないからとか、そういう事、一言でも言ったなら本気でブチのめすから、そのつもりで。
さて、ちょっと着替えてくれない?
そのノーパン姿、結構クルんだよね。
何で躊躇うの? 兄弟でしょ?
一緒にお風呂に入った仲じゃない。見慣れてるよ、兄さんの裸なんて。
さぁ、とっとと脱いでくれる?
時間の無駄だし。
それとも、僕に脱がせて欲しいのかな?」
エンド
「パートタイムラヴァー、アルエド風味でその後を」というリクにお答えして。
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