「うちゃやとしずお」 3 (裏)

 

 ベッドが大人二人分の体重を乗せて大きく軋んだ。

「ん…んんっ…」

 そうだ。体の繋がりだけでいい。心なんかいらない。
 だって、そうしなければ負けてしまう。静雄に。誰にも膝を折りたくない。

 盤上の支配者。
 それが臨也の人の愛し方だ。それが崩れる事は自分の人へのアイが破綻してしまうのと同じ事。
 なのに、盤を蹴散らし、駒を吹き飛ばす、この男と何故関係を深めてしまおうとするのか。
 心がうるさい。考えたくない。

「んぁっ…」
 胸への愛撫に体を震わせつつ、臨也はファスナーを下ろして、前をくつろげ、静雄の手を取って、求めるそこに導いた。
 すぐクチュッと水音が立つ。

「凄ぇ…もうぬるぬるだな。硬ぇ…し。な、臨也?」
「はっ、あっ、ああっ、何…?」
「お前さ、ひょっとして、まだ薬抜けてねぇのか? ネブラん時の」
「まさ…か、あれから…あっ、ふぁっ、何日…経ってんの」
「だよなぁ…。なのに、こんなに積極的って…。まぁ、俺は嬉しいけどよ」
「あああっ! やだっ、あ」

 普段の自分とは思えないほど、甘い声が迸る。
 キュッと先端を擦られ、爪で引っかかれて臨也はビクンと体を震わせた。
 腰を自分から幾度も押し付ける。
 傷の治りは早くてもケンカばかりで荒れた手のざらついた部分が気持ちいい。
 敏感な場所がザラッと触れる。

「あんっ!」
「ん、ここか?」

 臨也の動きに気づいた静雄が触れてきた。
 逃げる腰を捕らえられる。
 快感が止まらない。

「うぁっ、だ、駄目っ、そこばっかり…っ」

 背中に電流が走ってゾクゾクする。
 もっといじめて欲しくて、腰を揺する。
 静雄の手のひらが立てるクチャクチャという水音が高まっていくのが心地いい。
 アレが熱を持って、ビクンビクンと跳ねる。

「あ、はっ、くぅぅぅっ、んんん〜っ」
 耐え切れず、臨也は熱情を吐き出した。
「は…ぁああっ…」

 静雄は口から唾液を垂らしたまま、少しうつろな目をしてる臨也の顔を見つめた。

「普段、キッつい目つきしてるせいかよ…今のお前の顔って壮絶だよな」
「フフ…」

 妖艶な色香を含んだ瞳で笑い、臨也は起き上がった。
 静雄にベッドの背に凭れるように促す。
 ファスナーから擡げたそれを見て、ゴクリと唾を飲み込んだ。
 軽く鈴口にキスしてから、ペロッと舐める。

「う…」
 それだけで、静雄はビクリと震えた。
 ジュッと熱いものが迸り出てくる。
 臨也は夢中でそれを舐めた。

(シズちゃんの味…好き)

 今まで、誰に対してもこんな感想を持った事はなかった。
 苦くて、まずくて、見られないように吐き出す技術ばかりうまくなった。
 でも、静雄は違う。
 全部飲んでしまいたい。
 自分の口の中に弾けさせたい。

(シズちゃん…好き…)

 舐め、扱きながら静雄をの見つめる。
 まだ臨也しか知らないそれは相変わらず綺麗な色だ。
 年中バーテン服に包まれた肌は日焼けしてなくて白い。
 全身に自分のものだと所有印をつけたくなる。

 でも、まずはここだ。
 静雄の一番敏感な部分に刻み込みたい。
 自分の存在を忘れないように教えたい。
 自分以外の奴ではダメな位強く。

「んんっ。ふ…」
 だから、動きが激しくなる。
 自分が他の男達から教え込まれた全てを披露したくてたまらない。

 でも、静雄とは道具とか薬とか余計なものは要らない気もする。
 そんなものがなくても充分だ。
 まるで生娘のように肌が熱い。
 ピリピリする。喉が渇く。

「…足りねぇだろ」
 静雄は身を乗り出すと、いきなり臨也の秘孔に指を入れた。

「ひっ、ああっ!」
 突然の刺激に臨也はビクンと跳ねる。
 思わず口を離した。

「…続けろよ。このままイカしてやる」
 静雄の声も視線も熱い。
 グチュグチュと秘孔を嬲られる。

「…ん…うう、ふぁ…ふ」
 競り上がる快感に震えながら、臨也は再び静雄を頬張った。
 ご褒美のように、腰の奥を抉る動きが激しくなる。

(…ああああ…)

 たまらない。
 自分の愛撫が巧みなほど、静雄はいい部分を抉ってくれる。
 それが嬉しくて、臨也は夢中で静雄をしゃぶり続けた。


 薄目を開けて静雄を見上げると、猫のように耳たぶの後ろを撫でられる。
 その指がとても優しい。
 臨也を屈服させようと、ベッドでのしかかる男達の目とは全然違う。
 テクニックなど関係ない。
 そのまなざしだけで、臨也は蕩けそうになる。
 溺れそうになる。
 静雄が愛おしい。


「んん…ふぁ…っぷ」
 もっと気持ちよくさせたくて、幾度もしごきながら、強く、弱くリズムを変えながら吸い続けた。
 その余りの刺激に静雄はたまらず声を上げる。

「…はっ。あ…っ、あああっ! も、もういい…っ。イ…イカせ…っ。頼む…っ!」

 静雄がたまらず、臨也の頭を掴んだ。
 静雄の体が快感でよじれ、瞑った目元が震えている。
 片目だけが辛うじて開いて、臨也を懇願するように見つめていた。

(色っぽいなぁ、シズちゃんは…。もっといじめたくなってくるよ…)

 興奮で顔を紅くしつつ、臨也はクスリと笑った。イかないように根元をギュッと抑える。
 浮き出た血管につう〜と指を滑らせると、静雄はギュッと目を閉じ、恨めしそうに薄目で臨也を睨んだ。
 微笑み、もう片方の手でしごきながら悪戯っぽく耳元に囁く。

「まだ、ダ〜メ…、シズちゃん。イカせないよ。もっともっと俺を感じて…」
「この…っ」

 忌々しそうに睨みつけてくる静雄の頬に軽くキスした。
 快感をこらえる静雄は本当にかわいい。
 頭のてっぺんに口付けを落とし、頬からうなじや胸にキスを落としながらゆっくりゆっくりと移動した。
 そのたびに静雄はピクンと反応する。
 内股が震えてる。

(初心者はこれだから、たまんないよね)

 陶酔に耐えるその姿を堪能し、ビクビク跳ねているそれをもう一度頬張った。

「はっ…ああっ!」

 刺激を待ちかねていた静雄のものは爆発寸前だ。
 グッと喉の奥まで入れる。
 苦しい。
 頭の中が白くなる。
 自分の中の静雄の指も暴れている。幾度も激しく往復する。
 臨也のものも、そのたび先走りの水を零しながら大きく揺れた。

「ああ…っ! はぁっ!」

 臨也は静雄を拘束していた指を緩めた。
 一気に解き放たれたそれがビクンビクンと口の中で暴れる。

(あ…凄…、シズちゃん、凄…っ…)

 静雄の体が強張った。静雄の指が臨也に軽く食い込む。
 同時にグッと奥まで静雄の指に奥深くまで犯された。

「んぁあああっ、んんんっ!」
 体が突っ張る。臨也も同時に達した。
「うぁ…ああ…んふ…」

 稲妻のような絶頂と同時に静雄の味が勢いよく口の中一杯に広がった。
 熱い。
 白濁した濃いものを夢中で飲み干す。
 一滴だって零したくない。
 おいしくてたまらない。
 紅い舌でぺろりと唇を舐めた。


(ああ、ダメだ。俺、またおかしくなってる…)

 けど、それすらも快い。
 いつもの自分を脱ぎ捨てたこの時間がひどく愛おしい。
 現実に戻りたくない。

「ああ、はぁ…はぁ…」
 二度もイったのとフェラのせいでだるい。
 臨也はベッドに体を投げ出した。心地いい。
 でも、まだ体内で欲望が燻ってるのを感じる。


「臨也…」
 静雄の腕に絡め取られた。
 舌が絡まる。
 静雄の指がたった今犯したそこをまた弄っている。
 敏感になり過ぎたそこは潤んで、指を三本も飲み込んでいた。

「んん…あ、そこいい…あっ。はぁ!」

 臨也は震えた。
 静雄の指や舌や触れ合ってる肌そのものが全て気持ちいい。
 秘孔や静雄に指が触れる奥底全てがジンジンする。
 ピクピクとそこの肉が静雄の指を愛しげにしゃぶる。
 応えるように、カリッといい部分を引っかかれた。

「う…んあっ」
 臨也は身を捩った。
 腰が引きつる。
 秘孔がキュッと締まった。
 肉の痙攣も快楽に繋がり、狂いそうになる。

「シズちゃん…あ、シズちゃん、もう…欲し…」

 燻っていたものが、臨也を駆り立てた。
 自分からもっと脚を開く。

「ここ…、もうここに挿入て。早く…ぅ」

 声が甘ったるい。
 女の声のようだ。
 恥ずかしい程他人の声のように悩ましい。

「ん……」
 静雄は臨也の脚を掴んで持ち上げた。
 あらわな部分がより広がる。
 急所を晒してる恐怖と軽い屈辱感は残っているが、今はただ望む刺激の期待感に体が震えていた。

 静雄の先端が秘孔を擦った。
 ぬるりと擦る。
 それだけで気持ちいい。

「アハ…シズちゃんと俺がキスしてる…」

 臨也は笑って、それを眺めた。
 静雄が顔を紅くする。

(かわいい)

 経験のまだ少ない静雄の反応は新鮮だ。
 二度目まではこちらのお株を奪うような勢いがあったが、少し慣れてくると、却って戸惑いやうろたえを見せる。
 何も知らない静雄を染めていくのは、体とは別の悦びがあった。

「あ、気持ちい…い」
 ツンツン突かれて、そのたび秘孔がキュッ、キュッと反応する。
 まるでついばむような愛撫に臨也は息を呑んだ。
 静雄の首に腕を回した。

「こっちもキスしよ、シズちゃん」

 唇を開くと、静雄を求めた。
 下と上でキスし合う。
 眩暈がする程気持ちいい。
 キスが深くなると同時に、グッと奥まで突き込まれた。
 狭い部分をぬるっと広げられていく。

「んんっ、あぅっ…!」

 唇を離し、臨也は思わず仰け反った。
 静雄はそれを許さず、再び唇が合わさる。
 そのたびごとに奥を抉られ、ズルッと引き抜かれては侵入する。
 犯される。

「あ、あああっ、はぁっ、〜〜〜っつ、くぅっ!」

 内臓が掻き回される。
 昔は吐き気がして困った時もあったが、今はただ嬉しい。
 静雄に満たされたい。体全てを。

(シズちゃんだ。シズちゃんが俺の中にいる…っ)

 多幸感で頭が吹っ飛びそうだ。
 もっと刺激が欲しくて自分も腰を動かす。

「あ、いいっ、あっ、これが…欲しかった…んだ! 一日中…欲しくて、欲しくて…あっ!あ!」
「臨也…っ、凄ぇ…締まる…気持ち…い」

 応えるように、静雄は動く。
 内部が擦れる。痙攣する。絞る。収斂する。
 静雄の汗の匂いがする。

(あ、俺、シズちゃんの匂いも好き…だ)

 激しく揺すぶられる。
 静雄の形がはっきり解る。
 毎日覚えてる形に体が安堵する。
 肌が馴染んでいく。

「あんっ、はぅ…ぅぅ、あん…!」
「…クソッ…ダメ…。もう…イキそ…。なぁ、先に一回出していっ…か?」
「え?…んん…んっ!」

 慣れない静雄はまだ長くは持ち応えられない。
 臨也が答える前に、弾ける気配を感じた。
 体内で熱い迸りが当たってる。
 ブルッと静雄は腰を震わせた。
 ギュッと目を瞑って、余韻を感じてる静雄の顔を臨也は下から眺める。

(俺の中でイッてる時のシズちゃんの顔…)

 いい顔だ。本当に色っぽい。
 自分がイく時は見れないから、じっくり堪能する。

(こうして見ると結構まつげ長いよね)

 目を閉じた顔を間近で見るのはなかなかない。
 まだ残った静雄の精液が痙攣しながら、出てるのを感じる。
 収めきらないそれが太股を伝い、シーツを濡らした。
 男だから後が大変なのだが、中でイかせるのが臨也は好きだ。
 抱かれてはいても、相手を征服したような充足感がある。

「あんまジロジロ見んなよ…」
 視線に気づいた静雄は顔を紅くして、そっぽを向いた。

「いいじゃない…。俺のもさっき見ただろ。あいこ」
「チェッ…お前の中、気持ちよすぎるから我慢出来ねぇ」
「そう言われると…悪い気は…しないね」
 臨也は微笑みながら、荒い息を吐いた。

「それよか、続けてくれる? シズちゃん…おっきいからさ。
 お腹一杯でキツイんだよね。まだ元気だから…このままイケるでしょ?
 ずっとシズちゃん…挿入れたまんまで、関節とか…さすがに痛くてさ」
「…おう」
 静雄は赤い顔のまま、グッと腰を入れる。

「う…ふ…んんっ」
 臨也の体内は敏感に反応し、蠢くように締め付けた。
 それだけで静雄のは重量を取り戻す。
 口付けながら、ゆっくりと静雄は動き始めた。

「くっ、はんっ! あっ! ああっ! シズちゃん、もっと、もっとキツクして…いいから一杯して…」

 緩慢な刺激に臨也はねだるように体を揺すった。
 静雄は笑う。

「ホント、お前。激しいの…好きだ…よな」

 静雄は臨也の望み通り、起き上がると腰の上に乗せた。
 静雄の精液で融けて緩みきったそこはたわいなく静雄を飲み込む。
 また体液が二人の脚に飛び散った。

 中は熱い。
 粘膜が歓迎するように静雄に絡みついてきた。
 繋がったそこが急かすように幾度も収縮する。
 痛い程気持ちいい。すぐイッテしまいそうだ。
 臨也の指もわなわなと静雄の手を握り締めた。
 臨也の瞳が興奮で潤んでいる。

「バカ、あせんなよ…っと!」

 一気に突き上げる。
 臨也は喉を上げた。
 苦痛と快楽が同時に押し寄せ、目に涙が滲む。

「あっ!! はっ、いいっ! ああっ!」 

 ただ欲しくて、充たし合いたくて幾度も体位を変える。
 前から、横から、後ろから犯される。貫かれる。
 細い腰を責め苛む。
 胸の突起を捻った。

 臨也の鳴き声が部屋一杯に満ちていく。
 幾度も名を呼ぶ。
 欲しくて、もっと欲しくて。

「シズちゃん…シズちゃ…ん…っ!シ…ズちゃん…っ」

 声が上擦る。
 息を荒げて、シーツにのたうつ臨也の姿の、静雄の背筋にゾクリと電流が走った。
 喉が鳴る。

「お前…エロ過ぎ…」
「…んぁ…、そ、そこダメ…ぇ!」

 片足を上げさせ、静雄は臨也を責め立てた。
 ベッドが二人の動きに合わせて軋む。
 もっと奥を感じたくて、静雄は一層高く臨也の脚を上げさせた。
 別の角度からそこに当たって、臨也は耐え切れず悩ましげに悶える。

「あ…あっ、はんっ! イヤっ…」
 急に引き抜かれ、体を裏返されると、また望んでる部分に突き立てられる。

「うああっ! あっ、あ!」

 シーツに顔を押し付け、快楽に耐え切れない脚が突っ張って、脚の指先がシーツを幾度も爪弾いた。
 グチュヌチュと水音が高まる。
 キツイ程の快感に目が眩みそうだ。

「シズちゃん、シズちゃんっ! シズちゃ…っ!」

 繋がった全ての体内がひくつく。
 融けている。
 もっと灼いて欲しい。
 顔を上げて、舌を絡め合う。


 静雄が一つに繋がった部分に触れた。
 グニグニ擦ると、臨也はビクッと魚のように幾度も跳ねる。

「ここ、いいのか?」
「んんっ、いいっ! あ、そこ、シズちゃんがい、いるっ。あっ!」

 臨也はせがむように静雄に振り返った。

「ま、前も握って。俺のっ! ギュッとしてっ…んぁっ、いいっ!」

 二箇所同時に責められて、臨也は声を上げて、背を仰け反らせる。
 キュッと締まり、静雄は持っていかれそうになるのを懸命にこらえた。
 出来れば今度は一緒にイキたい。

「う…あっ…!」
 臨也の胸の紅い突起を爪で引っかくと、臨也はブルッと震えた。
 臨也の中が熱い。
 苦しいくらいにビクビクと締め付けてくる。
 そこに歯でも生えているかのようだ。

 もう何処に触れても、臨也は激しく反応する。
 首筋を軽く噛み、臨也の鼓動を感じた。
 臨也の命を感じる。
 臨也の汗を舐め取り、耳を噛む。
 そのたびに臨也は喘いだ。

(食っちまいたい…っ)

 そんな野生に似た衝動が静雄を襲う。
 過ぎる快楽に逃げる体を押さえつけるようにして、また犯した。

「あっ、あああっ、はっ、ダメ…」

 臨也は目を瞑った。
 幾度も一番敏感な部分を擦られて、そこがジンジンする。
 大きな快楽に幾度も揺さぶられ、翻弄されて何も考えられない。
 体に力が入らず、ただ静雄を感じ続ける。
 上り詰める。
 二人の動きが激しくなった。


「あ、はっ! もう、イクッイクッ! 出してっ、シズちゃ…んっ!」
「う…くぅっ、ん!」

 二人の体に電流が走った。
 静雄のものが熱くまた体内で溢れる。
 臨也はビクビクと震えながら、シーツに突っ伏した。


「…う、シズちゃ…ん、まだ…抜かないで…」

 臨也の体内が絶頂の余韻で痙攣している。
 静雄は臨也に覆いかぶさったまま頷いた。
 快いけだるさが包んでいる。

(俺のだ…)

 汗で濡れた髪を額から避けてやりながら、臨也への愛おしさが膨れ上がっていく。
 思わず、目元にキスを落とした。

 二人ともまだ完全に繋がっている。
 これだけ融け合ってると、もう少し収まるまで引き抜くのは無理だろう。

 それに離れがたかった。
 臨也の体内は気持ちよすぎる。
 身じろぐと、またキュッと中が締まった。
 敏感になり過ぎたソコは軽い刺激でも、すぐ浅く強く痙攣する。
 もっと味わいたくて、ゆるく腰を動かした。

「…ん…ぁ」

 臨也もだるそうだが、ピクン、ピクン…と反応する。
 その顔と声がたまらない。
 腰がまた疼きを取り戻していく。
 臨也が悩ましげに首を振った。

(ああ、たまんねぇ…)

 その顔を掴むと持ち上げて口付けた。
 舌を長く伸ばし、絡め合う。

「…もう一回このまま…」

 静雄は熱っぽく囁いた。
 臨也は微笑む。
 手が愛おしげに静雄の頭を引き寄せた。
 言う前から了承が取れている。

 グチュッと結合した部分が音を立て、臨也はまたシーツをグッと握った。


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